1969-1971 フォード・マスタングBOSS
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2011年モデルとして、新型の302エンジンを搭載した限定市販車「フォード・マスタングBOSS302R(英:MUSTANG 類:ムスタング)」が発表されましたが、本日は1969年に登場したオリジナルの「マスタングBOSS」について御紹介していきましょう。
1960年代のアメリカは、"Win on Sunday, sell on Monday"、つまり「日曜日に勝ち、月曜日に売れ」と言われるほど、レースの結果が自動車の販売成績に直結して時代でした。
メーカー各社はこのような時代背景からモータースポーツへ積極的に参加。当時絶大な人気を誇っていたNASCARはクライスラーがヘミ・エンジンを、フォードがSOHCエンジンを投入するなど、すでにメーカー各社のパワー競争が過激化していましたが、参戦車両はインターミディエイトやフルサイズが主流であり、マスタングを筆頭としたポニーカーの参戦は考えられませんでした。
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そこで、各メーカーが注目したのが1966年にスタートした市販車ベースのSCCAトランザム(TRANS-AM)レースでした。
正式にはTrans-American Sedan Championshipと呼ばれたこのレースはFIAグループ2ツーリングカーに準拠する市販スポーツカーのレースであり、排気量2.0リッター以下と2.0リッター以上の2クラスで競われました。
2.0リッター以下のクラスがポルシェ(Porsche)やダットサン(Datsun)、ミニ・クーパー(Mini-Cooper)など国際色豊かなエントリーで占められていたのに対し、排気量2.0リッター以上はアメリカン・メイクスのガチンコ・バトル。
なんと、フォード・マスタングを筆頭に、シボレー・カマロ、ダッジ・チャレンジャー、プリマス・バラクーダ、ポンティアック・ファイヤーバード、AMC・ジャベリン、マーキュリー・クーガーなどなど、当時のアメリカン・スポーティ・モデルのほぼすべてが参戦するという事態に至ったのです。
フォードはマスタングを投入して1967年からほぼワークス体制で参戦。同年のチャンピオンシップを獲得したものの、以降1968~1969年の2年間はペンスキー / スノコ・カマロをドライブするマーク・ダナヒュー(Mark Donohue)の後塵を喫することになりました。この状況を打破するべく投入されたのが、マスタングBOSS302だったのです。
BOSSはSCCAトランザムの排気量上限305cu.in.(5.0リッター)に合わせて開発されたため、排気量は302cu.in.に設定され、FEブロックをベースにクランクシャフトの軸受け部を固定するメインキャップをクロスボルト化したレーススペック・エンジンでしたが、トランザムレースのホモロゲを取得するために1969年~1970型のマスタングに搭載され、約8600台が市販車としても販売されました。
| 1967-1971 SCCA TRANS-AM | |
| Year | CAR |
| 1967 | Ford Mustang |
| 1968 | Chevy Camaro |
| 1969 | Chevy Camaro |
| 1970 | Ford Mustang |
| 1971 | AMC Javelin |
なお、スモールブロック302を搭載したBOSS302の他に、フォードは同じマスタングのホモロゲモデルとして、ビッグブロック429(ヘミヘッド・エンジン)を搭載したBOSS429も1969年に投入。こちらはNASCAR向けのホモロゲモデルとして製造され、約1350台が市販されました。
雑学ネタをもうひとつ、ネーミングの「BOSS」とは、日系デザイナーのラリー・シノダ(Larry Shinoda)氏が命名したといわれています。ラリー・シノダ氏はGM時代にビル・ミッチェル(Bill Mitchell)の元でコルベットのデザインを手がけ、マーコ・シャークやC3コルベットを生み出した辣腕デザイナーとして知られた存在ですが、1968年にはフォードへ移籍。当時のフォード社長バンキー・クヌーセン(Bunkie Knudsen)への敬意を示し、「BOSS」のネーミングを与えたといわれています。